ひとが作り出したもっとも古い観念のひとつに《神》がある。《神》は実在するのか、しないのか。それとも、《実在》という語がそぐわない、ある種の超越それ自体を指すのか。実在や経験、あるいは精神や観念、そしてそれらすべての超越者 […]
荘子の言葉をもう一度引用する。 荘子が恵子といっしょに濠水の渡り場のあたりで遊んだことがある。そのとき荘子はいった、「はや(魚)がのびのびと自由に泳ぎまわっている、これこそ魚の楽しみだよ。」ところが、恵子はこういった、「 […]
嘘とはなにか。そしてまた否定とはなにか。嘘と否定とは、よく似ている。実際、区別するのはむずかしい。したがって、ありきたりの仕方で両者を区別しようとは思わない。たとえば、次のような文章があるとしよう。 《私は犯人ではない。 […]
われわれは、戦前と戦後を見渡すことのできる世代である。戦前の60年と戦後の60年を比較して、そのどちらにも、ある種の共感を覚える。またそこに、思考の絶対的条件とでもいうべき不可避的な病があることも承知している。 ◆ たと […]
たとえば晩年のジャック・デリダがハバーマスと共闘したように、晩年の柄谷行人は丸山真男に共感する。ここに共通したなにかはないか。それも、戦後の病そのものであるような。といっても、それは不可避的な病であり、戦前のひとびとが、 […]
いまの日本は、世界的な公準に照らしてみれば、どう考えても極右政権なのだが、ネオナチの《アウシュヴィッツは存在しない》というテーゼ同様、そうした言質を繰り返すのが彼らの特徴となっている。彼らには、独特の論理学があって、こう […]