ニーチェはいう。 すなわち貧弱な心理学者であり人間通。…徹頭徹尾の独断論者であるが、この傾向に重苦しく倦怠し、ついにはそれを圧制しようとねがったものの、懐疑にもただちに疲れてしまう。いまだ世界市民的趣味や古代の美の息吹き […]
この三人について、ずいぶん、言葉を費やしたと思う。とくに、デリダについては、ここでは比較的たくさん語ったし、本当のところをいえば、もうあまり文句はいいたくない。きっと彼の人柄は、素晴らしいものだと思うから。それに、わたし […]
最近、ジャック・デリダの文句ばかり言っている気がするが、どう読んでも納得がいかないのだから仕方がない。とはいえ、自戒しておくが、勘違いしてはいけない。彼の行なう、微に入り細を穿つテクスト読解は、それはすばらしいものだ。わ […]
歴史家であるハンナ・アーレントの概念に、「忘却の穴」がある。ユダヤ人を焼き尽くしただけでなく、焼け残った髪や骨までも消し去ろうとしたナチスの行為は、民族そのものの存在の記憶――痕跡――すら抹消しようとしたのであり、これを […]
歴史とは、何か。つきつめていえば、それは、過去を現在に回収する装置である。もっと端的にいえば、過去を現在に変える装置である。歴史の装置は、だから、過去ではなく、《現在》に置かれている。純粋に過去そのものであるような歴史は […]
これは何の記号だろうか……。こんな登場人物がここに存在してよいのだろうか。こんなものは、今の今まで、どこにも現われたことがなかった。お前は誰だ? “a”の痕跡。少なくとも、わたしは覚えていない。どの登場人物が、“a”に変 […]