ニーチェは、『楽しい科学』のなかで、「忘却の音楽」について語っていた。たしか、彼はそこで、芸術を二つに分類していたはずだ(不確かな書きかたをするのは、いま手許にこの本がないから。今月二度目の満月の光を浴びながら、これを書 […]
前にいったように、最近はずっと湯川秀樹のアルシーヴに塗れている。生々しく殴り書きされた古ぼけた紙に、「β崩壊」であるとか、「相互作用」であるとか、「宇宙線」であるとか、あるいはその他諸々の数式であるとか、そうい […]
声と文字、このありふれた二つの《人間的》ツールについて、少しだけ考えをめぐらせてみよう。 声と文字は、ともに他者とのコミュニケーションのツールだが、その違いはなんだろうか。コミュニケーションのツールという点でこれらを比較 […]
人間には、不在のものを現前させる《力》が二つある。それは、想像力と記憶力である。もちろん、これらは、内在的には区別できない。記憶力のまったく介在していない想像力は成立しえないし、またその逆も成立しえない。両者は混在してい […]
一度にたくさんのことを言ったり書いたりすることはできない。こうして、ひとは、時間や空間の存在することを知るのだが、ともかく、この時間や空間のせいで、たくさんのことを語り残した。思えば、かつてわたしのものだった言葉から、ひ […]