ロベルト・ロッセリーニ『ドイツ零年』

cinema
2000.08.27

衝撃的。ロッセリーニの三部作の最初を飾る映画史上つとに名高い『無防備都市』(1945年)よりも圧倒的な印象。映画の範疇を超えているとおもう。この戦後すぐの作品の領域に達した映画はいまだに数少ないだろうし、歴史に取り組む姿勢の究極的なもののひとつとして、このレヴェルに達した解釈を提示しえた歴史家が何人いるだろうか。イタリアの国策映画としての立場を感じざるをえない『無防備都市』に比して、この作品の、圧倒的な、あらゆる作家的視点を超越した視点の見事さ。いやはや驚きました。あの奇跡的な少年の演技を見るにつけ、少年が、神が百年の映画史のなかに使わした天使の一人にみえてならない。あくまでわたし個人の印象に過ぎないが、小津安二郎を想起せずにはいられなかったことを付け加えておきたい。

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監督:ロベルト・ロッセリーニ
音楽:レンツォ・ロッセリーニ
出演:エドムンド・モーチェク、エルンスト・ピッチャウ、インゲトラウト・ヒンツ、フランツ・クリューゲル
1947年/ドイツ・イタリア/白黒/スタンダード/74分

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