ベルイマン『不良少女モニカ』

cinema
2000.09.08

原題は「モニカとの夏」。自由奔放で快活なモニカと、まじめで臆病なハリーの二人の恋愛は、すでにはじめから後に控えているだろう破局をにじませずにはおかない。ここでは一点だけあげようとおもう。モニカが友人との浮気を決意するシーンの長いクロースアップ。このシーンを神格化するヌーヴェルヴァーグの作家たちに、わたしも賛意と賛辞を表したい。この数秒のワンカットに、未来の映画のあらゆる可能性が凝縮されている。スクリーンという天上のなかにしかむけられていなかった(実際には私の部屋の小さなブラウン管の向こう)モニカの目線は突如、わたしのところまで舞い降り、そのときわたしの心臓が不意に波打つのが感じられるだろう。また、率直にいって、ヌーヴェルヴェーグの作家たちがあれほどまでに賞揚する意味がわかったことが嬉しくもあった。ちなみに『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグのクロース・アップはこのシーンの引用である。

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監督:イングマール・ベルイマン
原作:ベル・アンデルス・フォーゲストレム
撮影:グンナール・フィッシャー
出演:ハリエット・アンデルソン、ラルス・エルクボィ、ヨーン・ハリソン
1952年/スウェーデン/95分/白黒/スタンダード

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