ストローブ&ユイレ『今日から明日へ』

cinema
2000.10.26

ゴダール(JLG)とおなじく歴史を追及しながら、JLGとは対極に位置する映画の極北、ストローブ=ユイレの作品。シェーンベルクの一幕オペラの完全映画化。閉じられた空間のなかで奇妙に演じられる倦怠期の夫婦の無機的メロドラマは、まるで、何事もなかったかのように不意に終りを告げ、朝を迎える。その後のドラマを鑑賞者に期待させた外部からの侵入者も、あまりに平坦化されたモノクロームの夫婦の彩りにはならない。徹底的に追求された光と影と、音と沈黙の織りなす閉じたオペラ空間は極限まで平面化・平坦化され、まさに紙に記された記号のごとく、それでいて物自体を透徹した視線にさらす悪魔的ドキュメント。このようなことが可能なのか? そう、可能なのだ。彼らはまちがいなく「正しい道」を歩んでいる。次作、『シチリア!』において、彼らは、この道をさらに先へと進むことになる。

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監督:ジャン=マリー・ストローブ&ダニエル・ユイレ
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキ
音楽:シェーンベルク
指揮:ミヒャエル・ギーレン
1996年/フランス・ドイツ/62分/35ミリ/白黒

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